30kgの米袋をそのまま使う方法 |
店頭精米店で良く見かけるのが、30kg米袋の口を開けて、そのまま店頭に並べる方法。
この方法は、確かにお金もかからず、産地から届いた袋をそのまま見せることでお米の中身についての信頼性があるようにも思えますが、見た目にはやや衛生感に欠け、買い手側の視点に立つと、あまり良いとは言えません。
店頭精米販売スタート時には精米機等の設備が多少かかるので、予算がない場合は、まずこの30kg米袋での陳列でスタートするのも手ですが、店頭精米販売を柱にしようと思うのであれば、早期に消費者視点を意識したコーナー作りを考えることをオススメします。
市販品の各種容器を代用する方法 |
既成の容器で玄米陳列に代用できるものを探してみるのも一手です。
市販されている既成の容器なら体裁も良く、比較的安価で揃えられるものが結構あります。
そうした市販品にひと手間加えてオリジナリティのある陳列方法を考えるのも楽しい作業です。
【アイディアその1】米揚げザル+味噌樽
これは、あるデザイナーさんにヒントをいただいて私の主宰する玄米工房グループで定番に使ったアイデイアです。
そのデザイナーさん曰く、「買物に来るお客様は女性が中心。そうした女性が好む丸いフォルムだったり、民芸調のかわいい装飾などを考えるべきです。」とのこと。
そして「米揚げザル」を、玄米ショーケースの容器として使用してみました。
いくら「米揚げ」のザルだとはいっても、竹の目に玄米が詰まったりするので、最初は、北海道で使う60kg用米袋を中に敷いてみました。
これはやはり袋なので見栄えも良くないし、あまり使い勝手が良くありません。
次に竹ざるの中を和紙でコーティングしてみましたが、これも汚れた時に洗うこともできませんし、虫が食ったりで失敗。
それで次に考えたアイディアが、米揚げザルの中に味噌樽を入れて利用する方法。
これは大正解!!
三角蓋も付いていて衛生的ですし、あまり売れない商品は、上げ底用中子も付いているのでとても便利です。
ただし目一杯に入れても25kg程度しか入らないので、玄米を置いておけるバックヤードが多少必要になります。
米揚げザルも味噌樽も共に5,000円〜6,000円程度。合わせて1万円程度と安価で揃えることが可能です。
ただし米揚げザルは職人さんが少なくなっているとのことで、すぐに数をそろえることが出来ない場合があります。また大きさがそれぞれ微妙に違ったりします。
味噌樽と組み合わせて使う場合は、それぞれの大きさを良く確認して購入することをお勧めします。
また味噌樽の方も今は需要が少ないので、製造メーカーもあまり作っていないようです。
私はこれらを東京都台東区かっぱ橋商店街のオクダ商店で購入しました。
ご興味のある方は直接お問い合わせしてみて下さい。
【アイディアその2】杉樽を使う
杉樽には、漬物樽、味噌樽、酒樽などがありますが、閉店後のことを考えると上蓋つきの味噌樽や漬物樽が利用しやすいでしょう。
(閉店後などフタをしないとネズミに入られる恐れがありますので…。)
価格はちょっと大き目の2斗樽(外寸:高さ47cm、直径47cm程度)で、安くても3~4万円はするようでやや高価です。
頑丈で、大きさは申し分ありませんが、比較的場所をとることと、やや重たいのが難点です。
見栄えについても、お米というより、お酒や味噌というイメージが強く感じられる器です。
ご興味のある方は杉樽、味噌樽、漬物樽などで検索してみて下さい。
参照サイト→藤倉商店のホームページ(千葉県成田市)
【アイディアその3】おひつを使う
「おひつ」はまさしくごはん用の器ですから、お米を入れるにはイメージぴったりです。
ただし、おひつは、あまり大きなサイズのものがないため、米揚げザル同様、入りきらないお米をストックするバックヤードが、多少必要になります。
また容量の割にやや高価ですので、すべての玄米ををおひつで陳列するのは、あまり現実的でないかもしれません。
黒米、赤米、雑穀など、少量で扱う特殊商品などは、小さいおひつで陳列するのもお洒落で良いのではないでしょうか?
小さいおひつなら数千円~1万円前後で購入できるようです。
参照サイト→志水木材産業株式会社のホームページ
【アイディアその4】茶箱を使う
これは、ありそうで意外にない方法。
少なくとも私が知っている限りでは1件も見たことがありません。
見た目も素朴でなかなか洒落ています。
サイズも小さいものから大きいものまでいろいろあり、価格も手ごろです。
私が見つけたサイトでは小さいものは5kg用(342×240×265mm)で9,250円(税抜)から、大きいものでは40kg用(676×433×480mm)で17,700円(税抜)という安さ。
茶箱の中味はトタンの内張りが施してあります。
ただし注意しなければならないのは、もともとお茶という軽量のものを入れるために作られたものですので、お米を入れる量や、箱の大きさにもよりますが、強度にやや不安があります。
場合によっては多少の補強が必要になる可能性もありますが、大きさ、価格、見栄えを考えると玄米ショーケースとしての茶箱の利用は、とてもよい選択だと思います。
さらには、もともと湿気に弱いお茶を入れるためのものですので、トタンの内張りがしてありフタを閉めれば、しっかり密閉されることがもう一つのメリット。
お米の品質管理上も、閉店後のネズミ対策にも大きな利点です!
参照サイト→(有)福山堂製茶のホームページ
大工さんや専門業者に特注で作ってもらう方法 |
しっかりとコーナーづくりをしたいなら大工さんに専用の陳列箱を製作してもらうと良いでしょう。
お店のスペースに合わせることもできますし、知り合いの大工さんがいれば安価で制作してもらえる可能性もありますね。
ニレ合板を使って作った玄米箱。幅38cm×奥行57cm ×高さ70cm(本体高63.5cm+キャスター高6.5cm)玄米が約80kgほど入る大きさです。 |
ちなみに一般の大工さんに頼んだ場合の制作費は、材料や個数によってもずいぶん変わりますが、1個当たり、おおむね2万円〜5万円くらいで制作できるかと思います。
この時に気をつけなければならないのは、材料に使用する木材の種類です。
米を入れることを考えると、防虫、防カビ、防湿効果のある桐は使用材として良いように思いますが、材料費が高く、1個当たり5万円以上についてしまうかと思います。
桐を使うことのメリットと、価格を比較して考えると、決してコストパフォーマンスが良いとはいえません。予算があり余っているなら話は別ですが、私のこれまでの経験からいいますと桐でなくても十分です。
私は、楡(ニレ)合板を使って制作したことが何度もありますが、楡は材質が硬くくなかなか良いかと思います。
合板といっても、表面の仕上がりはツヤがあってGoodですが、合板の継ぎ目は好みがあるかもしれませんね。楡の場合の価格は大きさにもよりますが、3万円前後で出来るかと思います。
スプルースなど柔らかい木材は避けた方が無難です。
出来たばかりのうちは木目がとてもきれいですが、材質が柔らかいので、ちょっとぶつけただけでもすぐに傷がついてしまい、1年もすると、とても汚らしくなってしまいます。
また、松はヤニが出ることがありますので、これも避けたほうが無難です。
玄米が少なくなった時に、玄米箱を持ち上げて残った玄米を開ける作業も考えると、あまり重すぎる材質も考えものです。
木材についてはお米を入れることを説明し、大工さんとじっくり相談してみることをオススメします。
ポイントは、硬い材質で、あまり重すぎない、ヤニがでない、店頭に飾るので木目がきれいかどうかなどをチェックすると良いかと思います。
また営業時間外のネズミ対策として、フタをつけることは必須。アクリル板のフタなら玄米が見えるので営業中もしたままで衛生的です。
また箱の底にキャスターをつけておくと場所の入れ替えや、玄米の補充時にとても便利です。
最後に、道の駅や農産物直売所に玄米の量り売りコーナーを数多く手掛けている店舗什器の専門業者もあるようです。ご興味のある方は直接お問い合せしてみて下さい。
玄米ショーケース製作業者の参照サイト:ジンカンパニー(株)
(2009年12月15日)
(2025年2月24日改)